茨城福祉移動サービス団体連絡会
事務連絡【道路運送法における登録又は許可を要しない運送の態様について】
- 道路運送法における登録又は許可を要しない運送の態様について
- 道路運送法上の登録又は許可を要しない運送の態様についての考え方
- サービスの提供を受けた者からの給付が、「好意に対する任意の謝礼」と認められる場合
- サービスの提供を受けた者からの給付が、金銭的な価値の換算が困難な財物や流通性の乏しい財物などによりなされる場合
- 当該運送行為が行われない場合には発生しないことが明らかな費用(同種の運送を行った場合には、運送目的、運送主体を問わず発生する費用に限る。)であって、客観的、一義的に金銭的な水準を特定できるものを負担する場合
- 市町村が公費で負担するなどサービスの提供を受けた者は対価を負担しておらず、反対給付が特定されない場合など
- 運輸局及び運輸支局等による相談の受け入れ体制について
(平成18年9月29日)
- 各地方運輸局自動車交通部長 殿
- 沖縄総合事務局運輸部長 殿
自動車交通局旅客課長
道路運送法における登録又は許可を要しない運送の態様について
今般、道路運送法等の一部を改正する法律(平成18年法律第40号)が成立し市町村、ボランティア団体等が行う自家用有償旅客運送について、新たに登録制とされたところであるが、参議院国土交通委員会において「NPO等による福祉有償運送について、好意に対する任意の謝礼にとどまる金銭の授受は有償に含めないこととするなど「自家用有償旅客運送」に係る有償の考え方及び運送対象者の範囲を示す」旨の附帯決議が付されたところである。このため、本附帯決議の趣旨を踏まえ、標記についての考え方を整理したので、その旨了知されるとともにその取扱いについて円滑な実施に努めることとされたい。
記
1. 道路運送法上の登録又は許可を要しない運送の態様についての考え方
道路運送法(昭和26年法律第183号。以下「法」という。)第78条の規定により、自家用自動車は、原則として、有償の運送の用に供してはならず、災害のため緊急を要するときを除き、例外的にこれを行うためには、国土交通大臣の登録又は許可を受けるべきことが定められている。
個々具体的な行為が、有償の運送として、登録や許可(法第78条第3号の許可、法第79条の登録、行為の態様によっては、法第4条第1項又は法第43条第1項の許可。以下「登録等」という。)を要するか否かについては、最終的には、それぞれの事例に即して個別に総合的な判断を行うことが必要であるが、主として、ボランティア活動における送迎行為等を念頭におきながら、登録等が不要な場合の考え方及びこれに該当すると思われるケースの例を示せば、次のとおりである。
(1) サービスの提供を受けた者からの給付が、「好意に対する任意の謝礼」と認められる場合
運送行為の実施者の側から対価の支払いを求めた、事前に対価の支払いが合意されていた、などの事実がなく、あくまでも自発的に、謝礼の趣旨で金銭等が支払われた場合は、通常は有償とは観念されず、登録等は不要である。実際には以下のような事例がありうるものと考えられる。
- 運送が偶発的に行われた場合であって、運送の終了後、運送を行った者に対し意図していない金銭等の支払いが利用者から自発的に行われた場合。(例えば、家事援助等のサービス後、たまたま用務先が同一方向にあり懇願されて同乗させたなどの場合で、利用者の自発的な気持ちから金銭の支払いが行われたとき)
- 偶発的でない運送であっても、個々の運送自体は無償で行われており、日頃の感謝の気持ちとして任意に金銭等の支払いが行われた場合。(例えば、過疎地等において、交通手段を持たない高齢者を週に1回程度近所の者が買い物等に乗せていくことに対して、日頃の感謝等から金銭の支払いが行われた場合)
- 原則として、予め運賃表などを定めそれに基づき金銭の収受が行われる場合には、少額の金銭といえども「任意の謝礼」には該当せず、有償の「対価」となり登録等を要することとなる。ただし、(3)の考え方に基づいて金額が定められている場合を除く。
- 利用者が会費を支払う場合は、会の運営全般に要する経費として収受されている限りにおいては、対価とは解されない。ただし、会費の全部又は一部によって運送サービスの提供に必要なコストが負担される等、運送サービスの提供と会費の負担に密接な関係が認められ、運送に対する反対給付の関係が特定される場合は、会費と称して対価の収受が行われているものと考えられるため、有償とみなされ登録等を要することとなる。
- このほかに、「協賛金」、「保険料」、「カンパ」など、運送とは直接関係のない名称を付して利用者から収受する金銭であっても、それらの収受が運送行為に対する反対給付であるとの関係が認められる場合にあっては、それらが如何なる名称を有するものであっても有償とみなされる。
(2) サービスの提供を受けた者からの給付が、金銭的な価値の換算が困難な財物や流通性の乏しい財物などによりなされる場合
サービスの提供を受けた者からの支払いの手段が、例えば野菜など金銭的な価値の換算や流通が困難な物である場合、一部の地域通貨のように換金性がない場合などは、通常、支払いが任意であるか、又はそもそも財産的な価値の給付が行われていないと認められることが多い。実際には以下のような事例がありうるものと考えられる。
- 日頃の移送の御礼として、自宅で取れた野菜を定期的に手渡す場合は有償とはみなさない。
- ただし、流通性、換金性が高い財産的価値を有する、商品券、図書券、ビール券等の金券、貴金属類、金貨、絵画、希少価値を有する物品等にあっては、これらの収受は有償とみなされ登録等を要することとなる。
- 地域通貨の一種として、ボランタリーなサービスを相互に提供し合う場合であって、例えば、運送の協力者に対して1時間1点として点数化して積立て、将来自分が支えられる側になった際には、積立てておいた点数を用いて運送等のサービスを利用できる仕組み等、組織内部におけるボランタリーなサービスの提供を行う場合。
- サービスの交換にとどまる場合については原則として登録等は不要であるが、点数の預託がない者に対して寄付金を求め、或いは、有料で点数チケットを購入してもらうなどの場合においては、登録等が必要となるケースがある。
- 地域通貨といっても、エコマネー、タイムダラー、時間通貨など様々な名称があり、その種類、サービスの対象範囲等の内容もまちまちであることから、実際の地域通貨の対象となるサービスの内容、流通の範囲、交換できる財・サービスの内容等に応じ、無償となる場合、有償とみなす場合が存在することとなる。交換可能なものの範囲に広く財物が含まれる場合は、当該地域通貨が実質的に金銭の支払いと同等の効果を有し、登録等を要することとなる可能性が高い。
(3) 当該運送行為が行われない場合には発生しないことが明らかな費用(同種の運送を行った場合には、運送目的、運送主体を問わず発生する費用に限る。)であって、客観的、一義的に金銭的な水準を特定できるものを負担する場合
運送目的、運送主体にかかわらず自動車の実際の運行に要するガソリン代等をサービスの提供を受ける者が支払う場合は、社会通念上、通常は登録等は要しないと解される(ただし、このようなケースに該当するのは、当該運送行為が行われなかった場合には発生しなかったことが明らかな費用であって、客観的、一義的に金銭的な水準を特定できるものであることが必要であり、通常は、ガソリン代、道路通行料及び駐車場料金のみがこれに該当するものと考えられる。人件費、車両償却費、保険料等は、運送の有無にかかわらず発生し、又は金銭的な価値水準を特定することが困難であるため、これには該当しない。)。具体的には、次のような事例がありうるものと考えられる。
- 地域の助け合い等による移動制約者の移送等の活動に対して支払われる対価の額が、実際の運送に要したガソリン代、道路使用料、駐車場代に限定されている場合。(有料道路使用料、駐車場代にあっては、使用しない場合には徴収することができないものとして取り扱われることを要するものとする。)
(4) 市町村が公費で負担するなどサービスの提供を受けた者は対価を負担しておらず、反対給付が特定されない場合など
- 市町村の事業として、市町村の保有する自動車により送迎が実施され、それらの費用が全額市町村によって賄われ利用者からは一切の負担を求めない場合。
- デイサービス、授産施設、障害者のための作業所等を経営する者が、自己の施設の利用を目的とする通所、送迎を行う場合であって、送迎に係るコストを利用者個々から収受しない場合にあっては、当該送迎は自己の生業と密接不可分な輸送と解され、自家輸送として道路運送法の対象とならない。送迎加算を受けて行う場合も同様である。
- ただし、利用者個々から運賃を求める場合、送迎の利用者と利用しない者との間に施設が提供する役務又はサービスに差を設けるなど、送迎に係るコストが実質的に利用者の負担に帰すとみなされる場合には、送迎が独立した1つの事業とみなされることとなり、登録等が必要となる。
- 病院や養護学校、授産施設等から委託を受けて当該施設までの運送を行う場合であって、運送に伴う経費の全額を委託者又は第三者が負担して、利用者からは負担を求めないとしても、委託者との間で一般貸切旅客自動車運送事業又は特定旅客自動車運送事業契約による運送が行われていることとなり、当該事業許可又は登録等を要することとなる。
- 利用者から直接の負担を求めない場合であっても、訪問介護事業所が行う要介護者の運送(介護保険給付が適用される場合)については、有償に該当し、登録等を要することとなる。
- 子供の預かりや家事・身辺援助の提供が中心となるサービスを提供するものであって、運送に対する固有の対価の負担を求めないものである場合は、当該送迎サービスの提供は有償の運送とは解さない。
- ただし、運送を行う場合と行わない場合とで対価が異なる場合や、提供するサービスの中に運送が含まれており、運送に対する反対給付が特定される場合には、有償に該当し登録等を要することとなる。
- 利用者の所有する自動車を使用して送迎を行う場合は、単に他人の自動車の運転を任されただけであり、運転者に対して対価が支払われたとしても、それらは運転役務の提供に対する報酬であって、運送の対価とはならない。
- 自動車の提供とともに行われる運送でない場合には、そもそも運送行為が成立しないため、道路運送法の対象とはならない。したがって、運転者に報酬が支払われたとしても、運送の対価とはみなさない。
- ただし、運送の態様又は対象となる旅客の範囲の如何によっては、自動車運転代行業、人材派遣業等とみなされる場合があり、この場合には関係法令が適用されることとなる。
2. 運輸局及び運輸支局等による相談の受け入れ体制について
地域のボランティア活動を行っている団体等から有償の運送の相談を受けた場合には、積極的に応じるとともに、地域における助け合い活動、ボランティア活動による移動制約者の円滑な移動が過度に萎縮することのないよう十分配慮して適切に対応されたい。なお、上記に示した事例は、あくまでも例示に過ぎないので、不明な場合は、その都度本省に照会されたい。
事務局: 茨城NPOセンター・コモンズ内 ibaraki_294iinet@yahoo.co.jp